大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(う)2131号 判決

被告人 伝田奎二

〔抄 録〕

弁護人控訴趣意第三点について。

所論は要するに、原判決は原判示第一及び第二の被告人の各所為はそれぞれ包括一罪であり、両者は刑法第四五条前段所定の併合罪であるとして法令を適用しているのであるが、然し右両所為は被告人が相場で失敗して蒙つた損失を埋める意図すなわち単一の犯意の下に繰返えしてなされたものであつて両者は包括一罪の関係にあるものであつて、併合罪ではない。然るにこれを併合罪と認めて擬律したのは事実の誤認があると共に法令適用の誤りがある旨主張する。

然し乍ら、原判示第一の所為は被告人が昭和三一年三月二〇日頃新藤敬一から依託された同人所有の原判示各株式を横領したものであり、原判示第二の所為は被告人が昭和三二年八月七日頃森田晨からの依頼により日興証券株式会社を通じて取得し同人に引渡すべき原判示株式を横領したものであつて、原判示第一、第二の各所為はその依頼主すなわち被害者を異にすると共にその株式保管の時期横領の日時等も両者の間に一年以上の間隔があつて、原判決がこれを別個の各包括一罪と認定したのは当然であつて従つて亦これに併合罪の法令を適用したのは洵に相当であり、原判決には所論の如き違法の廉は存しない。論旨はその理由がない。

(山本謹 渡辺好 石井)

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